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初のラジャスタン地方へ!

2019年1月。
カルベリアダンサー Nalikaさんが長年あたためてきたラジャスタン地方を旅する企画に撮影担当として参加しました。

昔からインド、ペルシャ、トルコを始め様々な民族が行きかう要衝であったラジャスタン。

8~13世紀にかけて時代を築いたラージプート族は、この地域を治め、丘陵地帯に堅個な城塞を築いて独自の文化を築いてきました。

Nalikaさんは、2009年よりラジャスタンで毎年、長期滞在し、ラジャスタンのダンサーや、音楽カースト、マーンガニヤール(Manganiyar)とたくさんの時間を共に過ごしています。
そして一緒にコンサートを周り、彼らの生活に入れてもらい、現地のイベントで踊ってこられたというユニークな経験をお持ちです。

彼女いわく、
マーンガニヤール(Manganiyar)の人々は、イスラーム教徒でありながらヒンドゥの王族に仕えてきて、口承にて親から子へ代々受け継がれ続ける音楽を生業としています。
その並外れた音楽テクニックや唄は世界中に知られ、海外いろんな場所や様々なアーティストたちと活躍しています。砂漠に生まれ、砂漠で育ち、音楽を奏で、捧げ続けている彼らにしか出せない力強い砂漠の音色があります。」

情熱的でどこか懐かしくて素朴、自然に体を動かしたくなるような、高揚感たっぷりのラジャスタン音楽に魅せられたNalikaさんならではの旅プランは、他では決して経験できない人との信頼関係あってこそ成り立つものでした。

旅のメンバーは道中、ずっと笑いが絶えず、美しい色彩や音楽、景色に感嘆の声をあげていました。

駅のようなジョードプル空港。ここから、車で、途中ブロックプリントなど、インドファブリックを売っているお店に立ち寄りつつ、8時間ほどかけてジャイサルメール(Jaisarmer) へと向かいます。
実はここに来る前に、ニューデリー(New Dehli)で1泊する必要があり、インドの国土の広さを感じます。
とにかく移動に時間がかかる!

翌朝は、ジャイサルメール(Jaisarmer)の中を探索。
ウシの糞を踏まないよう注意して。

マカニアラッシー。
ラジャスタン州でしか飲めないそうです。日本で飲むようなサラっとしたラッシーとは全然ちがう食感。
ドリンクというより、スプーンですくって食べるほど、とろりとしています、サフランやカルダモンのスパイスも入っていますが、主張しすぎず、くせになる味です。
インドで、ギー(乳脂肪)のことを「マカーン」と呼ぶことと、とろりとした外観や食感から、マカーンのようなラッシー、という意味になります。普通のラッシーより、マカーンを多く加えているようなイメージです。(英語ですがレシピがありました)

カラカルコロニーと呼ばれる、マーンガニヤールたちの居住地区。
カラーはart、カールはworkerの意味で、「カラカル;芸術家」 の意味となります。
砂岩に細かい模様が彫られています。
ここで、Nalikaさんと親交のあるマーンガニヤールの家族と交流し、彼らはチャイでもてなしてくれただけでなく、音楽演奏で、歌詞に私たちの名前をひとりひとり、入れて歌ってくれました。

これも、濃いインド旅のほんの一部分です。
初めて訪れたラジャスタンのことを、あまりに強烈な記憶だったため、画面だけで伝えることはなかなか難しく、Nalikaさんの表現をずいぶんと参考にさせていただきました。
ここに改めて、撮影のために私もプランに組み込んでいただき、ありがとう、を。

Nalikaさんのサイトはこちら

ラッシー(Lassi:ヒンディー語の英語表記)

インドのバターミルクのこと。元来は、牛や水牛の乳から「ダヒ(Dahi)」と呼ばれるヨーグルトを作り、これを撹拌(かくはん)すると、乳脂肪(マカーン、英語ではギー,Gheeと呼ぶ)と、バターミルク(ラッシー)の部分に分かれる。
マカーンギー, Gheeは保存性の高いバターオイルで、食用のほか灯明、宗教儀式に使われることもある。また健康上、非常に有用とされている。

ダヒ(Dahi)

インド古来の発酵乳で、経典には紀元前2000年ころからの記録がある。牛乳、水牛乳を原料とし、素焼の容器で乳酸発酵させる。素焼の容器は多孔質のため、常用していると乳酸菌が定着し、表面に浸出した水分が蒸発して気化熱を奪うため、亜熱帯地方でも発酵温度を適温に保つ利点がある。水牛乳を使用したものは脂肪分が5~8%と高い。

マカーン (Ghee)
ウシやスイギュウ、ヤギの乳を沸騰させて加熱殺菌した後に乳酸発酵させ、凝固したものを撹拌してバター状にする。
これをゆっくり加熱して溶かし、溶けた脂肪分が黄金色になり、沈殿した固形分が褐色になったらろ過して容器に移し、冷ます。
加熱ろ過の過程で水分、糖分、蛋白質などが除かれるため、バターよりも腐敗しにくくなり、平均気温の高い地域(熱帯・乾燥帯)において長期間、常温で保存することが可能になる。
香り付けにスパイスが加えられることもある。
 
伝統的なアーユルヴェーダのギーのレシピは、生乳を沸騰させて、それを43°Cで約12時間煮詰め、水分と不純物をほぼ完全に取り除いた後、それを常温一晩寝かせて生産する。
 
バターに似ているが、加熱する過程でメイラード反応により独特の香ばしい香りが生まれる。調理油として炒め物や菓子作りに用いるほか、炊いた白飯に混ぜたり、焼きたてのチャパティやナンに塗って食べる。
ラジャスタンの音楽家

ラジャスタンには大きく2つの楽師コミュニティがあり、ジャイサルメール(Jaisarmer)では、マーンガニヤール(Manganiyar)というヒンドゥ=教徒楽師コミュニティ、
ジョードプル(Jodhpur)を中心としたエリアでは、ランガ(Langa)と呼ばれるイスラム教徒楽師コミュニティがある。


*) 執筆にあたり、パキスタン・ミャンマー周辺の民族・言語・音楽などに詳しい村山和之氏(和光大学, 表現学部, 講師)にもアドバイスをいただきました。