ギルガメシュ叙事詩はすべての神話の原点? – Fox-walk Photo Gallery

ギルガメシュ叙事詩はすべての神話の原点?

inspiration

古代文明って、現代の地名とかけ離れた地名が多くて、いったいどこの話なんだ?

と、お受験対策で地名と教科書の丸暗記。詳細はすっかり記憶の彼方。

ところがどっこい。そんなことを抜きで考えるととても面白いのですよ。

世界の神話や伝説に興味のあるなら、読むことをお勧めします。それは、すべてが詰まっている普遍的な物語。

 

ギルガメシュ叙事詩とは

主人公は、紀元前2600年ごろ、シュメール(現在のイラク・クウェート)の都市国家Uruk (ウルク、イラク南部のサマーワにあるワルカ遺跡)に実在したとされる王、ギルガメシュ(Gilgamesh)。

神と人間の間に産まれた存在であり、超越した力をもっていました。その力の強さに、誰もギルガメシュを抑えることが出来なかったために、暴君となってしまいます。

Hero lion Dur-Sharrukin Louvre AO19862.jpg
By 不明Jastrow (2006), パブリック・ドメイン, Link

 

書き出しはこんな感じ。

「すべてのものを国の果て [源]まで見たという人、
すべてを味わい、すべてを知ったという人、
ギルガメシュ、国の源、その基礎を見たという人、
智恵をもって、すべてを知った人
秘密をかれは見、隠されたものを彼は得た」

ざっくりあらすじ。

 

古代メソポタミアのギルガメシュという半神半人の暴君を主人公とした英雄物語。

ウルクという都城の王ギルガメシュが友達の半獣半人のエンキドゥと協力して、杉の森の恐ろしい森番フンババを殺して悪を追いはらったり、ギルガメッシュにつれなくされた女神イシュタルから送り込まれた天の牛を殺してウルクの都城を守ったりする。

が、その後エンキドゥが病に倒れ息を引き取ると、自分にもやがて死が訪れるのではないかと恐れたギルガメッシュが、永遠の生命を求めて旅立つ。

しかも、2015年に新たに発見された粘土板から、怪物フンババはエンキドゥの幼い頃の友人だったことが判明。3)4)

エンキドゥは、獣の中で育った男。森の神フンババと友達だったのは当然だろう。それが人間の女と暮したら、もう、獣の様に走れない。やがては、英雄ギルガメシュ王と共に、フンババを殺す。火焼き煉瓦の文明の為に、森を破壊したのだ。

エンキドゥはギルガメシュ王と共に、友であった森の神フンババを殺す。と、夢でお告げを受ける。「フンババ殺しのとがで、お前かギルガメシュか、どちらかが死なねばならぬ」エンキドゥは、病に倒れ死ぬ。この下りは、エンキドゥが、自罰したかのよう

エンキドゥ死後、ギルガメシュが旅を続ける中、出会った人物、ウトナピシュテム。

彼は大洪水が発生したとき、家族と動物を乗船させて舟で乗り切り、洪水がおさまったかどうかを鳥を飛ばして確認し、不老不死を得た人でした、というエピソード。旧約聖書のノアの箱船と同じ話があったのか??というような展開。

またギルガメシュって、天を力に任せて荒らし回った素戔嗚尊とキャラが似ているような?

不老不死の果実を蛇に取られる、という話も世界各地にあります。

死んだエンキドゥが冥界を旅するというエピソードも、ギリシャ神話や日本神話に共通するものがあります。

ギリシアのイオアニス・カクリディ教授によれば、ホーメロスのオデッセイにも顕著な影響が見られるそうです。

さらにイスラームやシリアに伝わるアレクサンダー大王の伝説ギルガメシュ叙事詩に酷似しています。
この地方の伝承では、アレクサンダー大王は晩年、若返りの泉を探し、オリエントを彷徨います。

 

いつか粘土板が全て集まり、全容が判明するのかどうかも、ワクワクします。


時代背景

ウルクは、イラクの国名の由来にもなった古代メソポタミアの重要な都市です。都市神はイナンナ(アッカドのイシュタル)。現在知られている限り、ウルクから発見された文字資料(楔形文字)は人類最古のもので、ウルク市が文字の発祥地であった可能性もあるようです。

世界最古の文学作品の一つ。紀元前2千年紀初頭のものが最古の写本(粘土板に楔形文字で書かれた)で断片的に残っています。

全ての神話のルーツとも言われています。



↑詩とイラストで構成されたイマジネーションの本。ベリーダンスもモチーフに入ってます。

シュメール人は、アッカド語の呼び名で民族系統不詳。自らのことを「ùĝ saĝ gíg-ga (発音:uŋ saŋ giga)(ウンサンギガ、黒頭の民)」と呼び、自分の国を「ki-en-ĝir(キエンギ、君主たちの地)」と呼んでいました。

 

メソポタミアってどこよ?

メソポタミア(Μεσοποταμία、Mesopotamia)とは、ギリシャ語で「複数の河の間」の意味。

現在のイラク、シリア、トルコにわたって流れているティグリス川、ユーフラテス川の間にあるため、その名がつきました。

パブリック・ドメイン, Link 

イラクで、シュメール人の文明が発展したのをベースに、メソポタミア文明が発展したという流れです。

メソポタミア文明を支えた3つの要素。

1. 灌漑農耕の発明

それは余剰生産をもたらし、文化的営為に費やす時間的有余を生み出した。石材、木材は乏しかったが、泥(粘土)は豊富だった。シュメールの文明観は、粘土からなんでも作り出すことにあったため、物語では人間も粘土から作られる。

2.シュメール都市国家の成立

そこでは分業が進み、地縁血縁に縛られない「個の意識」が芽生えた。周辺諸国との交易も盛んになった。

3.文字の発達

川の反乱が度々起こるため、粘土は豊富にあった。それで煉瓦や粘土板が作られ、粘土板には交易の記録などが残されるようになり、これが文字の原型となっていった。

原文字トークンから絵文字を経て楔形文字が成立することで、情報伝達の正確性が飛躍的に向上した。

こういった背景を元に、世界最古の文学作品が生まれました。

イラン中部から北部がAkkad(アッカド)人が住んでおり、隙あらばシュメール(Urukあたり)に進出しようとしていました。そして紀元前2350年頃、アッカド王サルゴンがメソポタミアを最初に統一して中央集権国家のアッカド帝国を作ったものの、後に衰退しました。

Empire akkad.svg
By Middle_East_topographic_map-blank.svg: Sémhur (talk)
derivative work: Zunkir (talk) – Middle_East_topographic_map-blank.svg, CC 表示-継承 3.0, Link

 

●北メソポタミア;アッシリア (初期〜古アッシリア時代)

周囲を征服したりされたりし、古バビロニア王国のハンムラビに征服されます。バビロニアと異なり、高原にあるため灌漑が不要で小麦を豊富に産出し、セム語族のアッシリア人商人による交易も盛んでした。

●南メソポタミア;シュメール(北部)+アッカド(南部)を合わせた歴史地理的領域→

紀元前1757年頃、ハンムラビがアッシリアへ出兵して征服し、メソポタミア地方を統一し、古バビロニア王国(バビロン第一王朝)となりました。

都市国家バビロンがシュメール及びアッカドの地を再統一したことにより、ハンムラビは、シュメール及びアッカドの地の王の地位を獲得しました。統一されたこの地域はバビロニアとも呼ばれるようになりました。

紀元前1595年頃ヒッタイトムルシリ1世に攻められ滅ぼされました。

あとは端折りますが、この地域は後に。

ヒッタイト王国→アッシリア帝国(中アッシリア時代)→4帝国時代(メディア、新バビロニア、リディア、エジプト第26王朝)→ペルシャ王国(アケメネス朝)→ローマ属州時期→パルティア→サーサーン朝→イスラーム帝国→モンゴル帝国→オスマン帝国→イギリス委任統治領メソポタミア→イラク王国→イラク共和国 そして現在に至ります。

 

ヒッタイト王国では、これを読むと親近感を感じられるようになるかも。。



旧約聖書

ユダヤ教の聖書(ヘブライ語で「タナハ」)を元に書かれたキリスト教の正典かつユダヤ教の聖書。

成立時期:紀元前(知られている最古は、アラム語聖書、古代訳)

アラム語とヘブライ語は両方とも北西セム語族の言語として分類されています。

ユダヤ教;紀元前587年にバビロン捕囚、その間に教義が現在に繋がるものに改められました。

キリスト教はユダヤ教の一派として始まり、原始教団は、西暦30年前後に現れました。

イスラム教において、その一部が旧約聖書と啓典に共通した記載がある。

  1. ムーサー(モーセ)に下された『タウラート』(『モーセ五書』)
  2. ダーウード(ダビデ)に下された『ザブール』(『詩篇』)
  3. イーサー(イエス)に下された『インジール』(『福音書』)
  4. ムハンマドに下された『クルアーン』(『コーラン』)

現在読まれているものとは異なり、それぞれ、アラビア語で「タウラー」「ザブール」と呼ばれる”

 

コーラン(クルアーン);

西暦610年頃にムハンマドが大天使ジブリール(ガブリエル)が彼のところにあらわれ、神から託された第一の啓示をあたえたところから、何度かに分けて伝えられたものを文字にしたもの。

 

関連記事

オスマン敵国外伝 愛と欲望のハレム

 

参考:

1) Wikipedia  ギルガメシュ叙事詩、 、旧約聖書クルアーン、メソポタミア、タナハシュメール、、アッカド

2) 古代メソポタミアの神話と宗教―『ギルガメシュ叙事詩』の魅力を中心に―

3) Lost ‘Epic of Gilgamesh’ Verse Depicts Cacophonous Abode of Gods

4) 『ギルガメシュ叙事詩』 の新文書: フンババの森と人間 渡辺和子 – 2016

5)「ノアの方舟」の原型? 『ギルガメシュ叙事詩』のあらすじ (パンタポルタ)

6) TRIITY

 

Photographer