ネットで紹介されていた舞台写真や動画を一目見て、ピン、と来たので早速見に行ってきました。

ネット上の動画だけより、実際に足を運んで、いま、このときにしか体験できない表現を五感で感じるのが舞台芸術の醍醐味です。

最後のカーテンコールだけは撮影OKで、さらにこの様子をシェアすると特典グッズのポストカードがもらえるとのことでした(まんまと、もらってしまいました)

演じたのは、上海舞劇団。

「舞劇」は、セリフ無く、小道具も最小限、感情に訴える音楽と場面ごとに見事に変わる照明のもと、身体表現のみで物語を伝えます。

中国の民族舞踊にバレエやコンテンポラリーダンスなど、様々な舞踊表現を組み合わせた中国発祥の舞台芸術です。

 

物語

朱鷺(トキ)の仙女・ジエと村の青年・ジュンが出会い、やがて恋に落ちる。しかし、人間の世界で生きていくことのできないジエ。ジエを守ろうとするジュンの葛藤が、2部構成のさまざまな舞踊表現で展開されていきます。
1部:

ジエとジュンの出会いを愛に満ち溢れたふたりのダンス、また、それを彩る24羽の朱鷺(トキ)たちの群舞で、鮮やかで彩り豊かに表現されていきます。

2部:

迫力のあるコンテンポラリーダンスを中心に、環境破壊が進んだ世界がモノクロで表現され、今にも息絶えそうなジエの苦しみと、それを助けようともがくジュンの苦悩、やがてくる悲しい結末が描かれます。

動きが朱鷺そのもの

特に、朱鷺役のダンサーたちの頭の動き、腕の動きが踊りとして表現されているのですが、それでも動物そのものの感じを強く感じました。

なので、人間同士というより人と朱鷺のあたたかな触れ合いを感じられ、心も暖かくなりました。

このニュアンスは、とても気に入りました。私はクラシックやコンテンポラリー、創作ダンス、ミュージカルのダンスを見たことがありますが、ここまで繊細な表現は見たことがありません。

以前、来日した「孔雀」と共通するものがあり、おそらく中国の伝統舞踊、民族舞踊の影響が大きいように思いました。

ストーリーの深さ

ストーリーの陰陽が対照的でした。

平和で自然と調和した昔の風景と、人工的で汚染された現代の対比、安全と危機、幸福感と絶望。

それでも、朱鷺の羽は、次の世代に手渡されました。

その羽をどう受け継いでいくのか。

問いを投げかけられた感じ。

2部に登場したジュンは、写真を撮っていました。

そして、現代の環境に疑問も持っていて。。なんだか親近感。

私も、これからどんな写真を見せていけるのか。

などと考えながら踊りを見ていました。

次々に動かなくなる朱鷺たちに接し、行き場のない感情を爆発させるジュンのソロ、最後の死の直前まで羽ばたき続けるジウのソロ、そして死、暗転。

セリフも何も無いのに、伝わってくる気持ち。

最後の、剥製になった朱鷺(ジウ)がケースにおさまり、年老いたジュンと対面する瞬間が、ほんとに切なく、涙が流れました。

ここまで心を動かされる舞台を見られたのは非常に幸運だと思います。お金ではどうにもできない大切なもの。忘れないでほしい・・・

また見る機会があることを祈って。

 

メインダンサー

朱潔静 ZHU JIEJING (ジュ・ジエジン)
上海歌舞団プリンシパル。国家一級演員

王佳俊 WANG JIAJUN (ワン・ジヤジュン)
上海歌舞団プリンシパル。国家一級演員