現代のグローバル社会では、多様な文化や価値観を理解し、協力し合うことが求められます。

そんな中、国際帆船レース「Sail Osaka 97」に参加することで得られた経験は、単なる航海を超え、人として成長するための重要なステップとなります。

帆船での共同生活を通じて学ぶチームワークの重要性や協力し合う大切さについて、具体的なエピソードと共にご紹介します。

セイルトレーニングとは

ふだんの生活ではわからない、自分自身の潜在能力と可能性を発見できる

かつて、大航海時代、活躍した船、帆船。

帆船による外洋航海を通じて、決断力、真の勇気、チームワーク、チャレンジ精神、そして自分に対する自信を体験から身につけるのがセイルトレーニングです。

帆船に乗れば風や波といった自然の力を理解しやすいうえ、皆で力を合わせて大きなセール(帆)を扱うことから、協調性や規律の大切さなどが学べるのだそうです。

普段の陸上での生活で気付かないうちに身にまとっていた“心の鎧”が少しずつ外れてくるのだそう。

「人は青年期になり、肉体的には大人になると、他人から教えられることを拒み、大人のすることなら何でもできると思い上がるようになる。
この時期の青年に必要なことは、他人と力を合わせなければ乗り越えられないような試練を体験させることである。
セイルトレーニングの目的は航海技術の習得にあるのではない。帆船の外洋航海を通じで必要とされるチームワークや決断力、他人を思いやる心を体験から学ぶことにある。」

(英国セイルトレーニング協会名誉総裁エジンバラ公フィリップ殿下)

船上では、海の上は逃げられない。あなたは他の人とどうやって力を合わせますか?

これを考えるのが日常茶飯事。

海外には一般の方が航海に参加できるセイルトレーニング帆船がたくさんあります。

日々の暮らしの中で困難に出会ったとき、「とてもできない」と尻込みしてしまうのではなく、あの航海での体験が「できるかどうかわからないけど、とにかくやってみよう!」「あれだけの航海も乗り越えられたのだから、これだってできないはずはない!」と前に進む勇気を与えてくれるはずです。

そして困難を乗り越えるためには、人と力を合わせなければならないこと、自分一人だけではけっしてできないことがわかっているはず。これこそがセイルトレーニングの本質であり、このプログラムが帆船でなければできない理由なのだそう。

グローバル人材とは
私たちは、世界で活躍できるグローバル人材を「活き活きと、たくましく生きる力を持つ人」と定義しています。
 それは、
 ①異質な文化・モノ・人を受け入れることができる人
 ②変化することを恐れず、何事にも挑戦できる人
 ③チームワークとリーダーシップ(フォロワーシップ)を理解し、
  常に実践できる人と言い換えることもできます。
異文化や外国語を学び、体得するプロセスにおいて、これらは根源的かつ重要なエッセンスになります。」

デンマークから来た帆船クルーたちのお手伝い

香港~沖縄~鹿児島~大阪の国際帆船レース「Sail Osaka ‘97」

そして、実は1997年、帆船レースで、大阪港に、世界各地から集まった帆船を見る機会があったのです。当時、英語ボランティアを募集していました。
「実践で英語を使う練習ができるよ」と言われ、それで、先生に勧められて参加したのでした。

帆船レース参加国の一つ、デンマークのカティサーク号が、私の入ったチームに割り当てられました。
クルーに船の中を案内してもらったり、一緒に交流しながら、「これ、英語でなんて言えばいいんだっけ??」と、英語で話すことに四苦八苦したのを覚えています。
滞在最終日には、みんなで寄せ書きの垂れ幕にメッセージを書き込み、キャップのつばの裏に、クルー一人一人から、サインをもらったりして、別れを惜しみました。もっと一緒に話したかったな・・・お互いがそんな気持ちでいっぱいになり、お別れパーティも、ハグしあって名残惜しかったよー・・・
しかし、時は流れ、再び、このような大規模な帆船レースが日本に来ることはありませでした。

セイルトレーニングの意義

セイルトレーニングの目的は航海技術の習得にあるのではない。帆船の外洋航海を通じで必要とされるチームワークや決断力、他人を思いやる心を体験から学ぶことにある。」

野外活動教育プログラムの原点、それがセイルトレーニングだと言っても過言ではありません。

言い換えれば、どんなに技術が発達し、船が大型化しても、広大な海における自然の力が変わることはありません。

それどころか最近では異常気象のために自然の脅威はさらに厳しくなっているでしょう。

外洋における圧倒的な波、そして風の力に逆らうことなく乗員どうしが力を合わせて乗り越えることが、どんな時代になっても変わらない航海の基本なのです。

それを体で会得するには帆船による外洋航海が最も適していることが世界で認められています。

文明が進み、日々の生活が便利になればなるほど野外での体験訓練を積極的に教育に取り入れる必要性があります。

その後のセイルトレーニング

日本のセイルトレーニング船「<海星>は長年の資金難によって2004年を最後に日本でのオペレーションに終止符を打ち、運営母体の日本セイルトレーニング協会も同年のうちに解散しました。<海星>はいま、サンフランシスコの篤志家の手に渡っています。
そして<あこがれ>も、大阪市の事業廃止決定によって20年間に及んだセイルトレーニングを終えました。事務局の「セイル大阪」は2013年3月末で業務を終え、<あこがれ>も民間に売却されて、もう大阪南港でその姿を見ることはできません。」

日本でもセイルトレーニング

特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン 帆船「みらいへ」として就航


海に囲まれた日本は、古くから海と密接に関わってきました。
昨今では、領土や資源等、海が国の根幹を揺るがしかねない重大な問題の場として海が注目を浴びるようになっています。
一方、日々の生活において、私たちが海との関わりを意識する機会は極めて少なく、学校教育においても、海に関する内容が殆どないのが現状です。

このまま海に対する国民的関心が薄れ続けると、将来的に私たちの生活や安全保障において、様々な影響が出てくることは避けられません。
私たちは、海や帆船、自然を活用した教育プログラムを通じ、世界で活躍し、よりよい未来を創造していく人材育成のお手伝いをさせていただくことを決意しました。

提供する数々のプログラムが、グローバル人材育成の一助となることを確信しております。