後輩の結婚式が、すべての始まりだった
今、私は舞台や踊りの撮影、学術会議など、熱量の高い場を撮り続けています。
けれど、写真を始めた頃の記憶をたどると、そこにあったのは、静かで、どこか温もりのある時間でした。
写真との出会い
写真にはデジカメが登場する前から、親しんでいました。
長嶺輝明さんの50mmで撮るテーブルフォトに魅せられ、旅先での風景やお気に入りの小物をフィルムカメラで撮影するのが趣味でした。
その後も、友だちとトイカメラ写真展プロジェクトに参加したり、二眼レフを試してみたり。古典写真技法にも興味を持ち、写真表現の可能性を探っていました。
震災後、カフェ「ナフシャ」で介助犬シンシアを撮影した小田哲明さんと出会い、人に寄り添う写真表現の奥深さを知りました。そこでおすすめされたのが、植田正治さんも愛用していたというFUJIFILMのTIARA II。ポケットサイズの、使い勝手の良いカメラでした。
転機となった一枚
そんなある日、職場の後輩から結婚式の撮影を頼まれました。
彼女はアメリカの大学を卒業していて、私と一緒に海外旅行もしたことがあり、私が写真を撮っている姿を見ていたからだと思います。
自分が撮れるのか不安でしたが、構図や演出を徹底的に調べ、後輩と相談しながら準備を進めました。
当日は、お支度から始まり、新郎新婦の笑顔、参列者の温かな表情、そして庭での集合写真まで。すべてをフィルムに収めました。
後日、出来上がった写真を見た後輩が心から喜んでくれ、手製アルバムまで見せてくれました。
「写真って人をこんなに幸せにできるんや〜」
その瞬間、写真の持つ力を実感しました。
もっと人に喜んでもらえる写真を撮りたい
その思いに導かれるように、2005年、プロカメラマンを多数輩出している東京の女性限定 「クオリティフォトスクール」の地方在住者向けコースに入学しました。
プロカメラマンの指導の下、念願のNikonを手に、本格的な撮影技術を学び始めたのです。
下の写真で手に持っているのは、Nikonの機械式カメラ、FM 3Aです。

機械式なので、時計機能を除いてバッテリーが不要。最初は、このカメラ+フラッシュで結婚式のグループ研修をこなしていました。
バッテリーに頼らず、極寒や過酷な環境でも動く機械式カメラが教えてくれた『何があってもシャッターチャンスを逃さない』という安心感は、今も私の指先に残っています。
あの日から今日まで
後輩の結婚式から約20年。あの日感じた「写真で人を幸せにしたい」という思いは、今も変わっていません。
私はその『大切な1日』を次の誰かの未来に繋げるために、今日もシャッターを切っています。

