みなさんは、宝石は、いつから日本に入ってきたと思いますか?
私の印象は、西洋から持ち込まれたものの印象が強いです。
なんちゃら文明展に足を運べば、古代からの金、銀、ブロンズを用いた装身具や実用品が所狭しと並べられています。
一方で、日本古来の装飾品というと、権力者が持つもの、儀式的なものに使うイメージ。
現代は、お守り代わりのパワーストーンなど、ちょっとスピリチュアルなご利益的な意味合いをもたせたもの。
宝石屋さんに行っても、本物と偽物の区別が難しい・・とか、そういう認識でした。
今回、映画「にしきたショパン」から繋がって、初めて目にした宝石を金属の台座に取り付ける作業などを拝見した職人の菊井さんのお店、ジュエリー工房フィールで、さまざまなお話を聴く機会がありました。
それを私なりに、理解したことを綴ってみました。
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ジュエリー(宝石)という言葉がなかった民族
宝石・宝飾史研究家の山口 遼さんによると、飾り櫛やかんざしなどの髪の毛の飾りはあれど、日本人は指輪もネックレスもイヤリングも使わなかった・・・その理由は誰にもわからない・・・つまり、奈良飛鳥時代から江戸時代の終わり頃まで、1000年以上にわたって、日本にはジュエリーと呼べるものがほとんど存在しなかった、という世界でも珍しい民族のようです。
まぁ、日本では海外のような宝石は産出しなかったので、(あっても、真珠や翡翠くらい?)無理もないかと思います。
にもかかわらず、開国以来百数十年の間に、日本はジュエリー消費大国。
具体的にはバブル経済が崩壊する1990年前後には、日本のジュエリー市場は年商3兆円にまで成長し、女性1人当たりのジュエリーのお買い物額は世界一になりました。
現在の市場規模は大幅に縮小し、かつての1/3程度まで減ってしまいましたが、それでも女性1人当あたりのジュエリーにおける支出額は、日本は世界屈指とか。
あまりにジュエリーの歴史の短いまま、一大消費国となってしまったために、ジュエリー業者もお客様も“ジュエリー”というものを、本当に理解していないのではないかという不思議も生まれています。
「特にジュエリーを作り売る業者が、優れたジュエリーとはどういうものなのか、ジュエリーに求められる美とは何なのかということをそもそも分かっていない。だから、彼らが作るジュエリーは、お客様から見るとどれもピンと来ないものばかり。またそうしたジュエリーが市場にあふれているため、経験や知識に乏しいお客様はそれが良いものだと思って買ってしまう、という現象が起きています。」
(山口 遼)
良いジュエリーが出回りにくい
さらに、山口さんによると、日本特有の奇妙な販売方法について触れています。
「ローン販売や催事での販売、お食事あるいは旅行つきの販売会を催す、卸業者が主催する販売会に小売店がお客を連れて行く、などなど。」
販売方法は一時社会問題化し、ローン販売の規制や消費者契約法といった消費者を保護する法律が生まれました。
「日本のお客様(そのほとんどは女性ですから、日本女性といってもいいでしょうが)、その方たちのジュエリーの買い方は、実に不思議です。
スーパーで1000円の食材を買う時には、とても真剣に、こっちがいいか、あっちがいいか、産地はどこだ、生産者は誰だと、あたり構わず比較してから買うのに、その100倍も1000倍もする値段のジュエリーは、まったく調べもせず、比較もせず、衝動的に買っていらっしゃる。
そうして買ったジュエリーはめったに使うこともなく、大事に箪笥の引き出しに入れたまま。たまに取り出しては「もしかしてこのリング、失敗だったかしら」なんて不満を覚えることさえある。
ジュエリーという商品は、毎日買うものではありませんし、腐るものでもありません。
急いで衝動買いをしなければならない商品ではまったくない。」
世界中で、もっとも甘い消費者、それは日本人。なのだそうです。
さらに、売る方についても、
「知識や経験に乏しいお客様が、いろいろな販売方法を考える宝石店に並んでいるジュエリーをつい買ってしまう、売れるから業者はまた同じような商品を作るという、一種の悪循環が生まれて、いつまでたってもジュエリーの水準が上がりません。」
と手厳しいです。
ジュエリー工房Feel
そんな状況の中、「ジュエリーとは、手にした人に喜びと感動をもたらす芸術品でなくてはならない」
という考えのもと、ジュエリーのデザインから石の買い付け、貴金属加工(ジュエリー制作)、ブランディング、販売までを一貫して社内で、こだわりをもって、製作を続けておられる職人の方がいらっしゃいます。
芦屋にある、ジュエリー工房Feel。
一級貴金属装身具技能士(職人)の菊井一夫さんは、技能功労栄誉賞、技能顕功賞を受賞され、機械では出せないような、繊細なジュエリーデザインを手掛けておられます。
また、ジュエリーの修理もうけていただけますよ!職人ならではの丁寧な修理です。
2005年には、
- オリジナルブランド「KIKUI KAZUO」発表
NYチェルシーホテルのペントハウスでプレスリリース
『EGO』マガジンに取材掲載
リーガロイヤルホテル中ノ島 ロイヤルスイートルームで日本向け発表会開催
ハンプトンでのウェディングドレスファッションショーにジュエリーを貸与
『グラマラス』『ヴァンサンカン』『ニキータ』等の日本向けファッション誌に取材が多数掲載される
- オリジナルブランド「KIKUI KAZUO」発表
- 2006年
- ハリウッドアカデミー賞での提供ジュエラー 5ブランドのうちのひとつに選出される
『グランマガザンジュエリー』等の日本向けジュエリー専門誌に取材が多数掲載される
といった世界にも認められた職人さんです。
菊井一夫さんの作り出す作品
特に、オーダーイニシャルジュエリーは、プレスリリース以後、国の内外を問わず各界著名人やセレブを中心に今もずっと口コミで広がって注文がくるそう。
すでに今までに約2500点程制作されているそうです。
下に、顧客の一人、天才タップダンサーのオマー・A・エドワードさんが、自身がモデルとしてプロモーション動画をアップされていますので、ご覧ください。
動画の裏話
スタッフの方によりますと、次のような逸話があるそうです。
「こちらの動画は、ニューヨークのハーレムに拠点を置きながら、世界的に活躍している天才タップダンサーのオマー・A・エドワードが、当店のオーダーイニシャルジュエリーをとても気に入ってくれて、自作自演のCMまで作って下さったものです。
菊井一夫さん ラジオ出演のお知らせ
私自身も、このような出会いがなければ、知らないまま、日々を過ごしていたのだろうと思います。
出逢いによって、世界が広がる。。。
好奇心によって開かれる世界。
今は、特に不確かな要素が多い時代です。
だからこそ、ほんものを見極める目・・・これからは、ますます質が求められる時代になるという予感がしています。
どうか、この記事が目に止まって、ほんものをこの目で見る機会が少しでも増える一助になれば、と思っています。
Facebookページでは、製作過程や看板犬など、いろいろな情報を発信されています。
ぜひ、訪れてみてください。