はじめに

写真撮影は日常の一部となり、多くの人が手軽に楽しめる趣味となりました。

しかし、写真撮影には法的リスクが伴うことも少なくありません。

特に、他人の著作権や肖像権を侵害する行為は、深刻な法的問題を引き起こす可能性があります。

知識を知っておくことは、自分や、あなたが写真に写した人の身を守ることにつながります。

本記事では、写真撮影に関する法的リスクとその回避方法について詳しく解説します。

著作権と肖像権の基本

著作権とは何か

著作権は、創作物の作者が持つ排他的な権利です。写真も著作物として保護され、無断でコピーや使用することは違法です。著作権は撮影者に自動的に付与され、他者がその写真を利用する際には許可が必要です。

肖像権とは何か

肖像権は、個人の肖像を守る権利です。写真に写っている人の同意なしにその写真を公開したり販売したりすることは、肖像権の侵害となります。特に商業目的で使用する場合は注意が必要です。

写真におけるこれらの権利の適用

写真撮影において、著作権と肖像権の両方を尊重することが求められます。例えば、公共の場での写真でも、写っている人の許可を得ずにその写真を商業利用することは問題となる場合があります。

パブリックドメインとプライバシー

公共の場での撮影の注意点

公共の場所での撮影は一般的に許可されていますが、他人のプライバシーを侵害しないように注意する必要があります。特に、子供や弱者が写っている場合は慎重に扱うべきです。

プライバシー保護の重要性

プライバシーの侵害は、個人の生活に大きな影響を与える可能性があります。写真撮影時には、被写体のプライバシーを尊重し、必要に応じて許可を得ることが重要です。

写真撮影のマナー違反事例

許可なく撮影することのリスク

許可なく他人を撮影し、その写真を公開することは肖像権の侵害にあたります。例えば、イベントやパーティーでの写真を無断でSNSに投稿することは法的問題を引き起こす可能性があります。

SNSへの無断投稿の問題

SNS(Facebook, instagram)への無断投稿は、被写体のプライバシーを侵害するだけでなく、著作権侵害にも繋がる可能性があります。公開前に必ず被写体の同意を得ることが必要です。自撮りした場合も、背景に写ったものから場所や時間特定をされる場合があります。

ネット上はメディア会社のように、組織として何らかのチェック体制があるわけではありません。そのため、撮影のルールやマナーが問題視されるようになっています。

モデルや被写体とのトラブル事例

プロのカメラマンでも、モデルや被写体とのトラブルは避けられません。例えば、モデルが契約に反した使用方法に異議を唱えるケースなどがあります。これらのトラブルを防ぐためには、明確な契約書を作成することが重要です。

少なくとも、黙って撮らない。

相手も人なのに、声をかけるわけでもなくスマホを向けて「パシャッ」と撮っていくだけ、というのは、一番良くないです。自分が相手だったら、どうするのが良いか?
そこがポイントだと思います。
また旅行先で写した写真に人が映り込んだ、そのとき、写真のフレームに写りこんだ全ての人に許可を取る事は現実的ではありません。
もしネットにアップするなら、顔はアプリなどでボカシをかけて、相手の肖像権を守るようにするのがベストです。
(iphoneだと、モザイクというアプリがあります)
(参考;ネコにも分かる知的財産権

ここ最近で起きた写真に関するニュース

2016.12.1   信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に
正確な医療情報ではない、引用にみせかけた転載であること、などが問題となりました。
これを機に、他のキュレーションサイトで写真の無断使用も発覚しています。
2016.2.24  さようなら 哲学の木
観光客が撮影のため、木周辺の畑へ無断で侵入する行為が止まらず、注意しても逆ギレされたり、一向に改善の余地がないための苦渋の決断だったそうです。
2017.2.9  ネットの写真で写真集 著作権法違反容疑で52歳男を逮捕
人の写真を自分の撮影として、勝手に写真集を作成、販売しました。
【2016年版】Webの著作権侵害事例とトラブル対処法

2024.6 朝日新聞元社員の名刺を不正使用のフリーランスカメラマンの男を逮捕 大学野球の応援団・チアリーダーを撮影 警視庁

2024.6 ヌード撮影で有名カメラマンからセクハラ被害「芸術をちょっと超えていた」

社会問題としての写真撮影

パパラッチ行為の影響

パパラッチ行為は、著名人のプライバシーを侵害し、精神的苦痛を与える行為です。こうした行為は社会問題として批判されています。

インフルエンサーと一般人の境界線

インフルエンサーが撮影した写真が一般人のプライバシーを侵害するケースも増えています。インフルエンサーはフォロワーの多さから影響力が大きく、その分責任も重いといえます。

子供の写真と法的問題

子供の写真を撮影・公開する場合は特に注意が必要です。無断で子供の写真を公開することは、プライバシーの侵害だけでなく、児童ポルノ法にも抵触する可能性があります。

このように、「私は大丈夫」「このくらい、いいだろう」と思っていても、すぐに調査で判明するようになってきています。
つまり、「善意かどうか」で著作権を考えるのでなく、損害が何らかの形で発生したかどうか、の考え方をとります。ですので、写真撮影側で気をつけることとして、以下のような方法が比較的安全であると思われます。
町中でスナップするとき、
・事前に被写体に許可を得る
・個人と特定されない後ろ姿
・個人が認識出来ないサイズで写るように超広角で撮影する
・肖像権が発生しないくらい明るいレンズでぼかす
顔の他に手や足にも肖像権があり、第3者がみて人物を特定出来る場合注意が必要
建物を撮るとき、
有料施設内やランドマーク、特徴的な建物での撮影規則はそこの、管理や運営者によって定められてることが多いです。
一般的に公開された建物の外観を撮影し出版物に掲載するのは著作権侵害に(第46条-2)ならないそうですが、その建物の施設内での撮影や広告やパッケージなど商業的に関しては、必ず許可が必要になります。
(引用;ストリートスナップの知らないと怖い写真の肖像権のお話


「素晴らしい写真をみんなに見てもらいたい」「キュレーション(まとめ)」の作成に必要だから。。。といった「善意かどうか」で著作権を考えると収集がつかなくなります。
そうではなく、実害と実益で考えることになっています。
また、発信側からはっきりと、望む使われ方を明示する必要があります。


当サイト掲載分の写真を肖像権を持たない第三者が二次利用する場合は、基本的に、日本写真家ユニオンの推奨に従っております。
一般利用目的料金は下記です(商用目的は下記の倍額をいただきます)

使用場所 使用期間1ヶ月 使用期間〜3ヶ月 使用期間〜6ヶ月 使用期間〜12ヶ月
ホームページのトップページ 15,000円 20,000円 25,000円 30,000 円
ホームページのセカンダリページ 10,000円 15,000円 20,000円  25,000円
アイコン 5,000円 10,000円  12,000円  15,000円
フレーム  15,000円  20,000円  25,000円  30,000円
バナー・リンク 10,000円  13,000円 16,000円  20,000円

公益社団法人 著作権情報センター 無料電話相談あり
協同組合 日本写真家ユニオン
弁護士相談Cafe
(ただし、フライヤーや雑誌記事のスクリーンショットを除きます)

法的リスクを避けるための対策

事前に許可を得る方法

被写体の許可を得る際には、書面での同意を取ることが最も確実です。口頭での許可は証明が難しいため、トラブルを避けるために書面での同意を心がけましょう。

著作権侵害を避けるためのチェックリスト

著作権侵害を避けるためには、以下のチェックリストを活用すると良いでしょう。

  • 写真の使用目的を確認する
  • 被写体の許可を得る
  • 使用範囲を明確にする
  • クレジット表記を行う
法的トラブルを未然に防ぐ方法

法的トラブルを未然に防ぐためには、事前の準備と確認が重要です。契約書の作成、許可の取得、法的助言の活用などを積極的に行いましょう。


実際の裁判例から学ぶ

著作権侵害の裁判例

著作権侵害に関する裁判例では、無断で写真を使用した結果、多額の損害賠償を命じられたケースが多くあります。これらの裁判例から、事前の許可取得の重要性を学べます。

肖像権侵害の裁判例

肖像権侵害の裁判例では、プライバシー侵害が認められ、高額の賠償金が発生することが少なくありません。特に、未成年者や著名人の肖像権侵害は厳しく取り扱われます。

判決が与える教訓

裁判例から得られる教訓は、法的リスクを軽視しないことの重要性です。適切な手続きを踏むことで、トラブルを未然に防ぐことができます。


写真撮影における倫理と責任

撮影者としての責任

撮影者は、被写体の権利を尊重し、倫理的に行動する責任があります。無断での撮影や公開は避け、常に相手の同意を得ることが求められます。

被写体への配慮

被写体が快適に感じられるよう、撮影時には配慮が必要です。特に、未成年者や弱者の場合は特段の注意が求められます。

写真を公開する際の注意点

写真を公開する際には、被写体のプライバシーを尊重し、必要な許可を得ることが重要です。また、著作権表示を適切に行うことで、トラブルを避けることができます。