写真作品となるには、何が必要か

写真が作品になるって、どういうことだろう。

写真を撮っていて疑問に思っていました。

でも、作品にまで突き詰めた写真は、明らかに何か違う。

言葉にするには、まだ分かっていないことが多すぎて。

一方で、一般的な職業としてのプロのフォトグラファーのスキルと芸術的な写真表現は根本的に違うようです。

用途が違うから当然ですね。

プロの撮影は、お客の要望にあったものを納品する、そのためファインダー内すべてをコントロールする技術が必須になります。

そういった違いがまずあることを念頭に、読んでいただけると嬉しいです。

アートとしての評価基準

過去の映画を観ない映画監督、名作を読まない小説家、先行論文を引用しない物理学者はいません。
なぜ、写真は過去の名作や、時代の精神、写真家の挑戦心を知らずに写真が作品的になるのか‥。
答えは優秀なカメラ機材の影響を大きく受けるからです。
(作品的=模倣、作品=新しい価値観)
メディア表現とは、何らかの装置を活用して創作すること。
映画はチームワークが難しく、絵画はデッサンからの修練が長く、数学は方程式を覚えないと解ができないが、最も民主的なアートが写真である。
しかし、文字を使いメモすることはできても小説にはならないのと同様に、写ることは表現することとは根本的に違う。
「時代や社会背景から読み解く作品の意図」「芸術家の心理を知る」「過去の名作を知らないと引用もできない」
なので、美術写真史を学ぶ理由は、そこにあります。
(畑 祥雄 写真表現大学)
「芸術というのは明らかに正しい技術、徹底された基礎によって裏付けされた表現力、芸術であって、それが足りないと芸術にはならない」
(羽生結弦)

アート全体で、感じていること

これは私見です。

写真に限らず、アートは何か先のことや、問題点を別な角度から伝えるという面があります。

本質的であるほど、それは長く残るようです。

一つ挙げます。

2022年およびコロナ感染拡大後を振り返ると、世界は大きな変化を迎えました。

過去の流れが断ち切られてしまいました。

大きな非常事態が起こるたびに、生活すら困難なとき、 文化や芸術は本当に必要不可欠なのか?

芸術なんて不要不急のものだろう、という意見が必ず出てきます。

しかし、ドイツのモニカ・グリュッタース文化大臣は、2020年3月11日、政府のプレスリリースを通じて、「政府は、文化・芸術・メディア業界でに従事する人々を決して見殺しはしない」とし、「コロナウィルスの蔓延によって打撃を受けている文化事業者への大規模支援」を発表しました。

これは世界の注目を集めました。

しかし実際に完璧に実施するには多くの問題を抱えていたようです。

助かった人も確実にいましたが。

ドイツ在住の知り合いの画家も。このようなエッセイを寄せています。

「ドイツは第二次世界大戦、 文化や芸術を弾圧し、 人間の自由と尊厳、 倫理を踏み潰した歴史がある。

先の文化大臣の「自由が奪われた時に、 私たちはどういう方向に転んでいくのかを目の当たりにした。 芸術家という存在は、 何事にも疑問を持ち、 矛盾を突き挑発することで公共の言説に活気を与え、 民主主義を全体主義的への偏向から守る人々である」という発言から見えるのは、 戦争からの教訓である。」

また、

自分の生きかたを絶えず問い直し、その答えを書くように生き る。

という島田ギャラリーオーナーの、島田誠さんの言葉にも共感しています。

デジタル時代のアート

少し話は変わりますが、デジタルデータのアートという分野もあります。

デジタルカメラが普及してから、写真はほとんどデジタルとなり、複製も容易になりました。

また、加工も簡単にできるため、何が本当なのか?という議論もあります。

現代写真についての知識や理解を深められるサイト

  • AMERICAN SUBURB X

    写真家のインタビュー記事などを、雑誌、美術館やギャラリーの発行物、ネット上などから収集しアーカイブしているサイト”AMERICAN SUBURB X”。古いものは1940年代から最新のものまでと幅広い。現在も更新中でデザインも見やすい。

  • Google Life Photo Archive

    ライフマガジンが所有する未発表を含む約1000万枚の写真をデジタル化し、イベント名や写真家名で検索できるようにしたアーカイブサイト”Google Life Photo Archive”。

  • Photo Quotes

    写真家の名言を集めたデータベースサイト。

  • Little Brown Mushroom

    アメリカンフォトグラフィーを伝承するアレック・ソスのブログ。進行中のプロジェクトから、読者へのQandAで写真や情報を募集したりと積極的にサイトを活用している。2012年で止まっているが貴重なアーカイブになるかも。

  • Alec Soth

    アレックは美術館収蔵クラスのコンポラ作家でありながらSNS運用はとてもカジュアルで、インスタもTikTokでも発信量が多く、教育面でも写真界に貢献している。新サイトはこちらに引き継がれているが、相変わらず情報量は多い。

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