写真を見て、「音楽が聴こえる」と、ヘルベルト・フォン・カラヤンをはじめ、レナード・バーンスタイン、ロリン・マゼール、ズービン・メータなど音楽関係者から高い評価を得ている写真を撮影していたフォトグラファーを紹介します。

名前は、木之下晃 さん(1936年7月16日- 2015年1月12日)。日本の写真家で、日本福祉大学客員教授。

死後作品を管理している、木之下晃アーカイブスも、ご覧ください。

「音楽は、記憶のタイムマシーン」

と言えるでしょう。思いを込めて聞いた音、何度も聞いた音は、それを聞いていた時の環境、感覚とともに、記憶の中に残っていく。

カメラ任せで、半自動的に撮った写真ではなく、自分の思いを写真に込めたい人へ。

写真は、言葉と同じく、インプットしてそのイメージを自分の体を通してアウトプットする。

その繰り返しで、どんどん本質に近づき、人間の感情の機微に迫れるのではないか。

そのためには、良い写真をどんどん、脳にインプットしよう。

そんな思いで、フォトグラファーを紹介するシリーズ。

マリア・カラスの晩年の姿を力強く作品として表現していて,その存在感は、見るものを圧倒させるものがあります。

90歳を過ぎて亡くなる直前まで、立って指揮棒を振った朝比奈隆を撮り続けた木之下晃さん

荘重にして華麗。カラヤンの指揮棒から生み出される音色は、全世界の人びとを魅了した。死後、彼を超えるマエストロは、いまだ現われていない。20世紀最高の指揮者の全貌がいまここに明らかにされる。

この本を最初のページから順に眺めてゆくと、モノクロームの時間が饒舌に流れ出し、まるで音楽を1曲通して聴いているような錯覚に陥ります。

写真の並べ方が絶妙なのです。中間部には、大胆にトリミングされた迫力あるカットが並びます。

そのほとんどは、ブレています。クライバーの渾身のスピードが、カメラの性能からはみ出しているのです。

そのはみ出し方を、そのまま作品にしている写真家の感性が、またスゴイのです。

ピントが合っているか、被写体が静止しているか、などとは別の次元の写真がそこにありました。

さらにページが進むと、写真は徐々に鮮明さを取り戻し、タクトを降ろして安堵の表情を浮かべるクライバーを捉えます。

木之下晃による、芸術家たち200人の肖像写真集である。
ただ“肖像”と言い切るには躊躇う。この躊躇いこそ、この写真集に独特の“肖像”の撮り方に、そしてそれがもたらした私の驚きをもたらしたものだ。
木之下は著名な芸術家にある石を持たせ、何かを表現してくれという。その石は表紙にある石で、芸術家たちは全く同じこの石を自由に使い、表現する。
よくある肖像とは、ある意味こちら写真をとる=“表現する”側の何かしらの意図や欲望の投影図になることもある。
しかしこの肖像は石が介してともに表現する場となるといったらよいのか、極めて間主観的な作業となっていて、とにかく他に私が“表現”しようがないのだけれど、面白いのである。
石がプロジェクターでもあり、楽曲でもあり、擬餌でもあり、ごちそうでもある。芸術家たちの様々な内なる何かを引き寄せてくる。

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