COVID-19で外出が制限されるようになり、人が集まったり、対面で活動することがほぼできなくなっています。

不要不急の外出禁止によって閉鎖的な日常になる中、ビデオ通話で顔を見て話し、声を聞くことによってコミュニケーションを取ることができ、
参加者同士の出会いも生まれるようなユニークな演奏会を企画されたピアニストがいます。
現在、集まること自体が病気の感染拡大を招きかねず、あえて人との距離を取ることが大切な時です。

だからこそ、音楽で繋がる出会いを皆で大切にし、音楽とお喋りの交流で お家にいながらも、元気になってもらえたらと願い、企画されたとのこと。

ピアニストのお名前は、瀬川泰代さん。

広島県出身。2006年に、指が思った通り動かなくなる神経疾患「局所性ジストニア」と診断され、その後、左手のピアノ曲と出会われました。

瀬川泰代さんのOnline話奏会 (わそうかい)

演奏後の座談会で全員にお話してもらうために 参加人数は限られており定員は約10名。
第2回目は、東北・北陸・関東・関西・中国・九州 そしてオーストリアから後輩ピアニストからの参加がありました。
聴衆は現場に立ち会うことはできませんので、スクリーンショットを、ご本人の了解を得て、掲載させていただきます。
これを読んだみなさんも、ぜひ、今後のOnline話奏会に参加や応援をいただけると、この記事を書いた私も、とても嬉しいです!
演奏スケジュールは以下のようになります。

ビデオ通話にて開場受付 10分ほど

第2回目 左手が繋ぐ音楽の世界

視聴者に、改めて瀬川さんからご挨拶と、オンライン配信機材の説明などもありました。
オーディオインターフェースに、ミキサー、マイク2本、カメラ、iPad を使ってのやりとりとなります。
配信側だけでなく、視聴者側のネット環境によって配信のタイミングも若干ズレが起きたりします。

Zoomは、話し声に特化しているため、演奏表現を拾う用途には向いていないようです。

視聴者側がスピーカーから音が聞こえないというトラブルなど、まだまだ、ネットインフラの問題は大きそう。
ピアノのような表現される音を、生で聴くのに近い感じで、個人が行うことは、なかなか大変なことですねぇ・・・

開演 左手のピアノひとくち講座

「左手のピアノひとくち講座」があり、 左手のピアノの歴史についてトリビアな話がありました。
左手で弾ける曲ってかなり古くからあったことにびっくり。

演奏  テーマ「祈り」  Youtube Live中継(開演) 40分

演奏の音はYoutubeが良いと判断され、プラットフォームをZoomからYoutubeに切り替え。
演奏の合間に曲の作られた時のエピソードを入れつつ、演奏。
幕間に、事前に、視聴される方から送っていただいた質問の回答を話しつつ、進行しました。

演奏後は視聴者からコメントが続々と演奏の感想コメントが書き込まれていました。

Youtube やfacebookのライブで1番感じることは、画面の向こうにどんな人が、どんな表情で聴いているのかわからない、というところです。

だから、演奏前のお互いビデオ通話で顔をみながら話ができることは、少しでもその違和感を解消することに役立つように思いました。

また、配信する側も、どんな音が相手に聞こえているか確認するのが難しいです。

それでも、チャレンジされる情熱にとても感動するとともに、ピアノの優しい音色に気分がほっこりしました。

瀬川さんの人柄によるところも大きいかもしれません。
第2回話奏会 
幕間に行われた事前に回答してもらった質問の回答をいくつかご紹介しますね。

Q. コンサート前のルーティンは?

A. 瀬川さんの聴衆への思いが伝わるよう、自分を整えていこうとされる、とってもすてきなルーティンをお持ちでした。

(現場を知る音楽家からのツッコミに苦笑いを浮かべつつ・・・笑)

Q. 左手のピアノ練習方法は?

A. 瀬川さん自身がどんな風に弾きたいのか、イメージづくりを大切にされていました。

理由の一つに、両手のピアノ曲に比べ、録音された左手のピアノ曲は数が少ないため、そうならざるを得ない事情もあるそうです。

また、演奏を片手で行うため、ピアノに向かって右寄りに座ります。左手は、低い音には腕を伸ばしやすいのですが、高い音のある右側は、体や右側の腕などもあり、演奏に負担がかかりやすい体勢となります。

そのため、ボディメンテナンスや呼吸にも気を配られているそうです。

座談会 (観客と演奏者のコミュニケーション) 約30分

演奏後は、色々な情報交換をしたり、観客も発言して話をする座談会の時間が設けられました。

瀬川さんによると、この時間が最も重視されていた時間なのだそうです。

参加された方も、思い思いに、今の状況や、オーストリアにいる後輩ピアニストの方も加わってオーストリアの国内事情などの話題で盛り上がりました。

 

これから、配信方法などより改善を重ねて、演奏をお届けしていきたいとのこと。

サロンコンサートに近い、お互いの顔をみて話し、演奏するという部分にこだわられていたのに、かなり近い感覚で

演奏やお話を楽しむことができました。

今は、トライアルも兼ねてですので、どんどんスタイルが進化していきそうな可能性を感じました。

他の音楽家にも役立つノウハウが蓄積されること、新たな鑑賞の幅が広がること、音楽家が活動を維持していける方法が

見つかるような試みの一つになることを期待したいと思います。

第2回話奏会

瀬川泰代プロフィール概略

詳細なプロフィールは公式サイトにてご確認ください。

2006年 指が思った通り動かなくなる神経疾患「局所性ジストニア」と診断され、その後、左手のピアノ曲と出会う

2009年 智内威雄氏と出会い、左手のピアノ演奏の指導を受け始め、2010年 エリザベト音楽大学音楽学部演奏学科を卒業。

2012年 オーストリア・グラーツ芸術大学大学院に左手作品のみで受験、欧州で初めて左手のピアニストの入学が認められる。

2012年から現在まで、同大学教授 池場文美氏に師事。

2015年 学内開催マルタデベリ奨学金コンクール 満場一致の一位受賞

2017年以降、スペイン、イタリア、ベルギーなど12の国際ピアノコンクールで入賞

2018年 舘野泉氏審査員長の「左手のためのピアノ公開オーディション」(石川県)最優秀賞、その後、国内、海外でオーケストラと共演など

13カ国で演奏活動を展開、左手のピアノ作品の周知に努める。

その活動は、メディアにも取り上げられるようになり、日本(NHK、北陸朝日放送)、チェコのドキュメンタリーフィルム Solo for One hand出演(Guomo共同制作  ヨーロッパチャンネルのコンクールやイタリアのフィルムフェスティバルで受賞した作品です)、日本・ヨーロッパの新聞にも記事が掲載など、大きな注目を浴びる。

2020年 同大学院を卒業。卒業時に、演奏と自身の研究論文を同時に行うレクチャースタイルコンサートで、満場一致の最優秀の成績を授与される。

引き続きポストグラデュエート過程に在籍。ドイツのIOCOニュースサイトに、卒業演奏の批評が掲載。
「圧倒的な実力、信じられないほどの表現力と‬迫力で 聴衆を深く触れることと感動させることに‬成功した」

と絶賛されました。

これまでに、平本恵子、濱本恵康、横山幸雄、アンドレア・ボナッタの各氏に師事。

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新聞記事

瀬川さんのFacebookページで、第1回の様子も少し公開されていますので、ご覧ください。